9世紀のクメール王国において驚異的な高さを誇る人工建造物であった「プラサット・トム」は、ピラミッド型の異彩を放つ寺院です。高さは約35メートルで、7段の階層を持つ石造建築は、極めて珍しかった。高さだけではなく、石の一つ一つのサイズも、とてつもなく大きいです。


プラサット・トムは、訪れる季節によってもその表情を変えます。特に乾季(11月〜4月)は、陽の光を浴びて砂岩の表面が黄金色に輝く絶好のタイミングです。現在、プラサット・トムには階段が設置されており、実際に登ることができます。頂上からはコーケーの遺跡群と周囲の森が一望でき、王が見ていた景色を感じることができるでしょう。


なぜこれほどの高さが必要だったのか?
プラサット・トムがこれほど高いのには、いくつかの理由が考えられます。
まず、宗教的な意味があります。クメールの王たちは、神に近づくために高い寺院を建てました。頂上にはシヴァ神のリンガが祀られていたとされ、王が神とつながる象徴だったと考えられます。
次に、権力の象徴としての役割です。ジャヤーヴァルマン4世がコーケーを都にした際、このピラミッドは遠くからでも見える王の威光を示すものだったのではないでしょうか。
さらに、戦略的な理由もあります。森に囲まれたコーケーでは、高い建物が見張り台としての役割を果たしていた可能性があります。敵の動きをいち早く察知するために、高さが求められたのかもしれません。
プラサット・トムの観光は、以下のツアーが便利です。